素敵な時間〈向き合う〉
例えばクラシック・バレエなら、
1日練習しないだけで、影響が出てしまう・・
という風に聞いた事がある。
私のピアノ演奏も、ブランクが相当あるので
弾いてみて、もしダメだったら、
やっと本当にあきらめられるだろう・・
という確かめの意味も込めて、
練習室を借りてみた。数年前のこと。
指慣らしのアルペジオは
元々上手くなかったので、こんなものだろう。
~~音大受験当日、
「ピアノ実技試験の課題曲を弾いた時」
これが私の人生の中で、一番緊張した。
1音でもミスしたらアウト。
・・今思えば、よくこんな事出来たものだ
と思う。
もう2度とこんな思いはしたくない。~~
その曲を、弾いてみよう。
真剣に、やってみた。
自分なりの、想像してた以上にきちんと弾け
驚いた。
そして、ショパン。
これは自分のレベルに及ばず、勝手に引いてた曲。
盛り上がりの部分は難しく、前から弾けてないのでパス(笑)
その手前の第2主題?すら弾けなかった。
今回はこの部分を弾いてみよう。
心を落ち着け、向き合った。
元々練習サボり気味の劣等生の私は、いつも
1週間後のレッスンに「怒られないために」
追い立てられる様に弾いてた気がする。
なので、
こんなにきちんと向き合ったのは、思い返せば
そんなになかったのでは?
と気付き、そんな自分に驚いた。
楽譜と向き合った。
「こんなに♯シャープが多いのはーー
ややこしいからと、例えばハ長調や、せめて
♯か♭1つにすれば弾き易い(見やすい)だろうに・・
でも調が変わると全く感じ変わるから、
響きを優先するのでそれは良しとして、
もしかして、
この多くの黒鍵を押さえた形が、ちょうど卵をふわっと包むような、
手の形に沿った、自然なフォームになるのでは?
手を置いた時に、楽に・自然になるように・・
そういう意味で、弾く人のこと考えて、この調にしてくれてるのでは?」
と、ふと思った。
弾いてみた。
そしたら・・
あんなにブランクあったのに、
以前は指がもつれて弾けなくて断念したのに、
スッと弾けた!
え?、何?
・・まるでショパンが「よくわかったね」
と応えてくれたかの様な運指、
不思議な出来事。。
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「練習室」という、
それしかできない環境の、
限られた時間の中で、
集中する事の心地良さ・・
素敵な時間だった。
追い立てられず、
「好き」が好きでいられる。
あきられめなくても良いのかも知れない・・
嬉しいギフトだった。